「デザイン経営」とは?
近年、企業経営において、デザイン思考やアート思考、あるいはリベラルアーツ等の領域が注目されています。従前の論理的・理性的な経営管理・情報処理技術だけでは、イノベーションや変革を起こすことが難しくなっている状況を象徴しています。 経済産業省と特許庁は、2018年に「『デザイン経営』宣言」を発表しました。「デザイン経営」とは、デザインを企業価値向上のための重要な経営資源として活用するものと定義しています。つまり、デザインの思考や技能を経営課題解決に役立てていくということです。その効果は、ブランド力の向上とイノベーション力の向上を通じて企業の産業競争力の向上に寄与するものとしています。
「デザイン経営」とは、デザインを
「企業価値向上のための重要な経営資源」として活用する経営のこと。
▼国内におけるデザイン経営の実践・実例化
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「デザイン経営」宣言
経産省特許庁 -
高度デザイン人材
ガイドライン経産省 -
サービスデザインを
はじめるために経産省 -
デザイン政策
ハンドブック経産省 -
デジタル社会の
実現に向けた重点計画デジタル庁
経済産業省・特許庁が発表した「デザイン経営」宣言をはじめ、デジタルを中心としたデザイン領域の重要性が増加
デザインを経営戦略の中心に
据えている企業
Apple、dyson、良品計画、マツダ、メルカリ、UNIQLOなどのBtoC企業のみならず、
3M、IBMのようなBtoB企業も、デザインを企業の経営戦略の中⼼に据えており、
「デザイン経営」の実践企業・成功企業ということが⾔えます。
日本企業における「デザイン経営」の例
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- トヨタ自動車
- 2011年、レクサスのデザインを個性的に仕上げ、従来比売上2倍に。個性あるデザインがブランド価値向上に直結することを証明
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- パナソニック
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2019年4月、最高技術責任者のもとにデザイン本部を立ち上げ
2021年4月、デザイン担当の執行役員が誕生
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- 富士通
- 社長自ら主導して、デザイン経営を導入。2020年7月に子会社の富士通デザインを合併し、営業部隊にデザイン思考の浸透を加速
デザインの投資効果
欧米ではデザインへの投資を行う企業パフォーマンスについて研究が行われていることも紹介されています。
British Design Councilは、「デザインに投資すると、その4倍の利益を得られる」と発表。
Design Value Indexは、S&P500全体と比較して過去10年間で2.1倍成長したことを明らかにしています。
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£1のデザイン投資に対して、営業利益は£4、売上は£20、輸出額は£5増加
(出典) British Design Council “Design Delivers for Business Report2012” を基に特許庁作成
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デザインを重視する企業の株価は、S&P500全体と⽐較して、10年間で2.1倍成⻑
(出典) Design Management Institute “What business needs now is design. What design needs now is making it about business.”を基に特許庁作成
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デザイン賞に登場することの多い企業(166社)の株価は、市場平均(FTSE index)と⽐較し、10年間で約2倍成⻑
(出典) British Design Council“The impact of Design on Stock Market Performance: An Analysis of UK Quoted Companies 1994-2003, 2004”を基に特許庁作成
※ 経済産業省・特許庁「『デザイン経営』宣言」(2018年)を元に作成
「トータル・コミュニケーションデザイン」